近年、中学受験や大学入試において、プログラミングの知識やスキルが求められる場面が増えていることをご存知でしょうか。
2025年からは大学入学共通テストに「情報教科」が新設されます。中学受験においても、プログラミング検定試験の合格を優遇する学校や、プログラミングを重要視する学校が増えています。
このような状況の中で、小学生の段階からプログラミングの検定試験に挑戦することは、さまざまなメリットがあります。
そこでこの記事では、小学生から挑戦できるプログラミング検定を3つ紹介します。
いずれもScratchなどのビジュアル言語で受けることができる検定です。
また、プログラミング検定対策ができるプログラミング教室もあわせて紹介します。
小学生がプログラミングの検定試験に挑戦するメリット
小学生がプログラミングの検定試験を受けるメリットは、大きく分けて以下の4つです。
体系的にプログラミングスキルを獲得できる
検定試験の内容は、特定のカリキュラムに基づいて作成されています。そのため、検定試験の勉強を通して、基本から応用までのステップを体系的に学ぶことができます。
網羅的な学習を通じて、幅広いプログラミングスキルを身につけられます。
現在のプログラミングスキルを確認できる
検定試験を受けることで、現在のプログラミングスキルがどのレベルにあるのか、客観的に把握できます。
自分のスキルの強みや弱みを把握し、今後の学習に活かすことができます。
プログラミング学習のモチベーションが向上する
検定試験に向けて学習を進めることで、目標を達成する達成感を得ることができ、プログラミング学習のモチベーションを維持できます。
また、検定合格の達成感は、自信につながり、さらにプログラミング学習に励む意欲を高める効果も期待できます。
中学受験や大学入試に有利になる
2025年から大学入学共通テストに「情報」が新設されます。情報教科では、プログラミングの知識やスキルが問われます。
検定試験を通じて情報教科の土台を築き、大学入試の対策につなげることが可能です。
また、中学受験においても、プログラミング検定試験の合格を優遇する学校や、プログラミングを重要視する学校が増えています。
プログラミング学習本来の目的を見失わないように注意!
小学生がプログラミングの検定試験を受けるメリットは多いです。
しかし、試験対策に注力するあまり、プログラミング学習本来の目的を見失わないように注意しましょう。
プログラミング学習は思考力や創造力を育むことが目的であり、プログラミング検定はあくまでも学習の成果を測る手段のひとつです。
検定試験に合格することだけにこだわるのではなく、プログラミングの楽しさや奥深さを学び、将来につながるスキルを身につけることを目指しましょう。
小学生におすすめのプログラミング検定
小学生から受験できるプログラミング検定を3つ紹介します。
検定 | 受験料(税込) | 言語 | 特徴 |
---|---|---|---|
ジュニア・プログラミング検定 | 2,600~3,200円 | Scratch | 作品制作に重点。 |
プログラミング能力検定 | 2,100~8,700円 | ビジュアル言語他 | 高校情報Ⅰに対応。 |
日商プログラミング検定 | 3,300~6,600円 | Scratch他 | 他と比べてレベルは高め。 |
いずれもScratchなどのビジュアル言語で受けることができます。
低いレベルからチャレンジできる「ジュニア・プログラミング検定」または「プログラミング能力検定(プロ検)」がおすすめです。
ジュニア・プログラミング検定
ジュニア・プログラミング検定は、サーティファイ情報処理能力認定委員会が主催する検定。
Scratchを活用したプログラミングスキルを測定し、その能力を証明・認定する試験です。作品制作に重点を置き、プログラムだけでなく自由な発想や説明スキルも評価されます。
レベルは、Entry、Bronze、Silver、Goldの4つ。上位級(Silver、Gold)ではあらかじめ作られたプログラムを修正する仕様変更も出題。すでにあるプログラムを理解し、修正するスキルも問われます。
級 | 試験時間 | 受験料(税込) |
---|---|---|
Entry(4級) | 30分 | 2,600円 |
Bronze(3級) | 40分 | 2,800円 |
Silver(2級) | 40分 | 3,000円 |
Gold(1級) | 50分 | 3,200円 |
公式サイトからサンプル問題を入手することができたので、Entryレベルを解いてみました。
お手本ムービーを見て、問題の指示に従って一つの作品を作っていきます。
日本語入力が必要なブロックはあらかじめ用意されていたので、タイピングが苦手でも問題ありません(数字は自分で入力します)
知識よりもScratchを使ったプログラミングスキルが問われる試験内容だと感じました。
プログラミング能力検定(プロ検)
プログラミング能力検定(プロ検)は、プログラミング能力検定協会が運営する検定。小中高校生が対象ですが、大人でも受験することが可能です。
2022年度より高校にて必修化された「情報Ⅰ」のプログラミング領域の基礎知識に対応。2025年1月から大学入学共通テストに新設される「情報」の対策に繋げることができます。
プログラミング言語は、Scratchをベースにしたオリジナルのビジュアル言語と、テキスト言語(JavaScript、Python、Java)から選択可能です。
レベルは6段階(ビジュアル言語はレベル4まで)あり、自分のレベルに合わせて受験できます。
レベル | 言語 | 出題範囲(ビジュアル言語) | 受験料(税込) |
---|---|---|---|
1 | ビジュアル言語、 JavaScript、Python、Java |
順次処理、条件分岐、 繰り返し、並列処理、角度 |
2,100円 |
2 | ビジュアル言語、 JavaScript、Python、Java |
不等号、座標、乱数 | 3,200円 |
3 | ビジュアル言語、 JavaScript、Python、Java |
論理演算子、変数 | 4,300円 |
4 | ビジュアル言語、 JavaScript、Python、Java |
関数、リスト | 5,400円 |
5 | JavaScript、Python、Java | - | 6,500円 |
6 | JavaScript、Python、Java | - | 8,700円 |
ビジュアル言語版では、動画を見て、キャラクターの動きを実現するためのプログラムを選ぶ「選択式問題」と、動画を見てキャラクターの動きを実現するためのプログラムを自分で作る「実装式問題」があります。
選択式問題では、プログラムの読解力が必要になります。過去問を解きながらプログラムを読む練習をするとよいと思います。
日商プログラミング検定
日商プログラミング検定は、日本商工会議所が主催する検定。
学生・社会人、年齢、業種、職種等を問わず、幅広い方を受験対象としています。
レベルはENTRY、BASIC、STANDARD、EXPERTの4つ。
BASIC以上のレベルは小学生にはちょっと厳しいと思います。
ENTRYでは、Scratchを使った簡単なプログラミングおよびプログラミング的思考を問う問題が出題されます。
レベル | 言語 | 試験内容 | 受験料(税込) |
---|---|---|---|
ENTRY | Scratch | 初学者向け ・簡単なプログラミング ・プログラミング的思考 |
3,300円 |
BASIC | 言語によらない | ・プログラミングの基本知識 ・簡単なアルゴリズム |
4,400円 |
STANDARD | C言語、Java、VBA、Python | 高校・大学・専門学校レベル | 5,500円 |
EXPERT | C言語、Java、VBA、Python | 企業における人材ニーズを反映 | 6,600円 |
ENTRYレベルの出題範囲には、比較的難しいリストやクローンがあります。
プロ検ならレベル4、ジュニア・プログラミング検定だとGold(1級)に相当するので、Scratchでのプログラミングにかなり慣れている必要があります。
ENTRYレベルの公式ガイドブックはないので、Scratch関連の書籍などで勉強しましょう。
また、無料で利用できる模擬問題が掲載されているサイト(※)があったので、参考にしてみてください。
※上記のサイトは日商プログラミング検定公式サイトとは関係ありません。試験出題範囲、サンプル問題から予想問題を作成したもので、合格を保証するものではありません。
検定試験対策できるプログラミング教室
プログラミング能力検定の試験対策ができる「QUREOプログラミング教室」を紹介します。
QUREOプログラミング教室
動画:YouTube「QUREOプログラミング教室-キュレオ 公式チャンネル」より
「QUREO(キュレオ)プログラミング教室」は、全国に3,000以上あるプログラミング教室です。
オリジナル教材「QUREO」を使い、420種類のゲームを作りながらプログラミングの基礎概念を習得します。
教室ではパソコンやタブレットを使って学習するため、機材を購入する必要はありません(一部の教室では、自分のパソコンを持ち込んで授業を行う場合もあります)。
先生が一人ひとりに合わせて、苦手なポイントやつまずいたポイントを個別指導し、しっかりサポートしてくれます。
QUREOのカリキュラムは「プログラミング能力検定」に準拠しており、日々の授業が検定対策にもなります。通学開始から1年以内に合格を掴む生徒もいるそうです。
また、このカリキュラムは新大学入試を見据えた本格的なもので、小学生でも高校卒業程度の基礎知識を身につけることができます。
- 対象学年(推奨):小学2年生~
- 受講回数:月4回(基本)
- 受講時間:1回 60分
- 受講料:各教室へお問い合わせください
料金は教室によって異なります。「QUREOプログラミング教室」のサイトから近くの教室を探し、各教室ページから問い合わせてください。自動返信メールですぐに料金が分かります。
また、多くの教室で無料体験を実施しているので、まずは体験してみると良いでしょう。
まとめ
小学生から挑戦できるプログラミング検定について解説しました。
プログラミング検定試験は、プログラミング学習のモチベーションを維持し、将来の進学や就職に役立てるための有効な手段です。
子どもの成長や発達に合わせてサポートしてあげてください。