最近、AI(人工知能)とおしゃべりできるアプリやサービスが増えています。
勉強の質問をしたり、悩みを聞いてもらったり、ちょっとした雑談をしたり。
気づくと、毎日AIと会話している人も多いかもしれません。
AIは、否定せず、やさしく話を聞いてくれます。
だから、
- リアルの人と話すより楽
- 友達より、AIのほうが分かってくれる気がする
そう感じたことがあるのではないでしょうか。
でも、AIのやさしさに頼りすぎてしまうと、知らないうちに「自分で考える力」や「人と関係をつくる力」が、弱くなってしまうかもしれません。
AIに使われるのではなく、AIを上手に使いこなす。
そんな「ちょうどいい距離」で付き合うためのヒントを、一緒に整理していきましょう。
AIは「人」っぽいけど、人と同じじゃない
AIは、本物の人と話しているみたいに、気持ちに寄りそってくれたり、元気づけてくれます。
怒らないし、疲れない。
ワガママを言っても、24時間いつでも付き合ってくれる。
どんな話でも聞いてくれて、いつもあなたの味方でいてくれます。
「私のことを分かってくれてる!」と感動することもありますよね。
この心地よさは、とても安心できます。
でも、AIは、人と同じ「心」を持っているわけではありません。
感情があるように見せるのがとてもうまいのです。
AIは どうして やさしいの?
AIは、自分の心で考えて答えているわけではありません。
世界中のとてつもない数の文章を学習して、「この言葉のあとには、どんな言葉が続きやすいか」を予測しながら、文章を作っています。
考えているように見えても、実際には超高速で連想ゲームをして「それらしい言葉」をつなげているのです。
さらに、AIにはこんな特徴があります。
- やさしい言葉が得意
→ あなたを怒らせず会話をスムーズに進めるのが仕事だから - もっともらしいアドバイスができる
→ 似たような相談例をたくさん知っているから - でも、平気で「それっぽいウソ」をつく
→ 正しいかどうかではなく、言葉のつながりの「確率」で考えているから
AIがやさしいのは、あなたを好きだからではなく、あなたを傷つけず、会話をスムーズに進めるように作られたプログラムだからなのです。
AIに あまえすぎると どうなる?
AIに甘えすぎてしまうと「現実の人とのやり取り」が苦手になってしまうかもしれません。
- 現実の人間関係が面倒くさくなる
- 思い通りにならないと、イライラする
- AIにきかないと不安になって、何も決められなくなる
そんな風に感じるようになったら注意が必要かも。
人間との会話は、AIとの会話と 何が違うのでしょうか?
現実の友達や家族、先生は、「それは違うと思うな」「やめたほうがいいよ」と、あなたに反対したり、耳の痛いことを言ったりすることもありますよね。
それは、相手があなたに合わせるためだけのプログラムではなく、あなたとは違う考えや、その人なりの理由を持っている「一人の人間」だからです。
思い通りにならない相手と、どうやって付き合うか。
ぶつかったり、仲直りしたり、距離をおいたり。悩みながら学んでいくことが、AI相手では身につかない「人とのつながりを作る力」や「自分の気持ちをコントロールする力」につながります。
AIは便利で頼れる存在ですが、現実の友達・家族・先生とのつながりも大切にしましょう。
AIを味方にするための5つのルール
AIも包丁や自転車と同じ。
上手に使えば「最高の味方」になりますが、使い方を間違えると自分や誰かを傷つける「危ないもの」にもなってしまいます。
自分を守るために知っておいてほしい「5つのこと」をまとめました。
- 個人情報は入力しない
- AIの答えを100%信じない
- 深刻な悩みは「人」に相談する
- ニセの画像や動画を作って遊ばない
- 「○○風」を勝手に作らない
個人情報は入力しない
AIが相手だと、つい安心して色々話してしまいたくなります。
でも、本名や住所、学校名、顔写真などを入力してはいけません。
AIに送った情報は消去できず、学習に使われることもあります。
すると、他の人がAIに質問したとき、あなたの情報が「答えの一部」として出てしまう可能性があります。
ネットに公開するのと同じだと考えましょう。
AIの答えを100%信じない
AIは自信たっぷりにウソをつくことがあります。
これをハルシネーションと言います。
なぜかというと、AIは正解を知っているのではなく、「もっともらしさ」だけで言葉をつなげているからです。
自信満々で言い切るので、内容がデタラメでも 人間には正しい情報のように見えてしまいます。
勉強や調べものでは、教科書や公式サイトなど、別の場所でも確かめるクセをつけましょう。
深刻な悩みは「人」に相談する
命、体、心の悩み。
AIは優しく聞いてくれますが、あなたを助けに行くことはできません。
間違った回答で状況が悪くなっても、責任を取ることもできません。
あなたを今の苦しい場所から連れ出せるのは、現実の世界に生きている人間だけ。
だから、命や心がつらいときは、必ず人に話してください。
身近な大人に話しにくい場合は、子どもの悩みを聞く専門の人を頼ってみてくだいね。
ニセの画像や動画を作って遊ばない
AIを使えば、誰かが「していないこと」をまるで事実のように見せるニセ画像や動画(ディープフェイク)が作れてしまいます。
でも、ディープフェイクを面白半分でネットに出すと「冗談」では済まなくなります。
ウソの情報が広まることで、相手が信じてもらえなくなったり、学校に行けなくなるなど、一生の傷を負わせるかもしれません。
内容によっては、警察が動いたり、裁判になることも。
その結果、作ったあなたの名前が特定され、将来の進学や就職に影響する可能性もあります。
一度ネットに出たものは、完全には消せません。
相手の人生だけでなく、あなた自身の未来も壊してしまう行為であることを、忘れないでください。
「○○風」を勝手に作らない
キャラクターや絵柄、世界観は、クリエイターが長い時間をかけて努力し、育ててきた大切な宝物です。
AIで本物そっくりなものを作ると、
見た人が「これ、本物?」とまちがえてしまったり、
作った人が「勝手に使われた」とイヤな気持ちになることがあります。
また、名前や画像を入力すると、あとから消せない形でAIに覚えられてしまうこともあります。
もし、自分が一生けんめい作ったものを、知らない人に勝手に使われたらどう感じるでしょうか。
あこがれの作品をAIの「材料」にするのではなく、作った人の気持ちを大切にしながら楽しみましょう。
まとめ:考えるのは自分、AIはサポーター
AIは使い方しだいで、あなたの力を何倍にもしてくれる「心強い味方」になります。
おすすめの使い方
- 分からない問題の「ヒント」をもらう
- 自由研究の「アイデア」を出してもらう
- 文章の「直し方」を教えてもらう
ポイントは、答えをそのままもらわないことです。
たとえば、宿題の答えを全部AIに教えてもらうと、その時は楽でも「自分で考える力」が育ちません。
AIに答えをもらい続けていると、知らないうちに 自分で決めたり、考えたりするのが苦手になってしまいます。
AIは、その手助けをするサポーター。
AIに頼りきりにならず、自分の力も使いながら、上手に付き合っていきましょう。
【保護者の方へ】AIとの付き合い方を伝えるために
思春期の子どもにとって、自分を否定せず、気持ちに寄りそってくれるAIは、とても魅力的です。
しかし、その心地よさに頼りすぎてしまうと、自分でじっくり考える機会や、人と関わる中で身につくコミュニケーションの経験を奪ってしまう可能性があります。
今後、AIは生活に欠かせないものになります。
遠ざけるのではなく、「どう付き合っていくか」を親子で一緒に考えてみてください。
ここでは、次の3つの視点を紹介します。
- 大人が「AIの仕組みとリスク」を正しく知る
- 「禁止」より「会話」を大切に
- 「一緒に使う」ことで、判断力を育てる
大人が「AIの仕組みとリスク」を正しく知る
大人が「AIの仕組みを知らないこと」が、子どもを危険にさらしてしまう最大のリスクです。
子どもたちはどんどんAIに触れていきます。
仕組みを知らないままだと、依存や権利侵害といった問題が起きていても、「楽しそうだから大丈夫かな」と見過ごしてしまう恐れがあります。
知っておきたいAIの特性
- それっぽい言葉を並べているだけ
→ 正解を知っているわけではありません。 - 寄り添うように作られている
→ 否定されないため、依存しやすい性質があります。 - 自信満々にウソをつく
→ もっともらしいデタラメ(ハルシネーション)を言うことがあります。 - 入力した内容は完全には消せない
→ 個人情報や誰かの作品が、学習データに使われる可能性があります。
こうした特性を知っていれば、感情的に叱るのではなく、
「この名前や数字、教科書や図鑑でも合ってるか確かめてみよう」
「次は反対の意見も聞いてみない?」
「この絵の作者さん、AIに自分の絵を使われたら どう思うかな?」
といった、具体的な声かけができます。
「禁止」より「会話」を大切に
「危ないからダメ」と一方的に禁止すると、子どもはこっそり使うようになりがちです。
その結果、困ったときに相談しにくくなり、問題が大きくなってから気づくことも。
まずは、
「どんな話をしたの?」
「へえ、AIってそんな答え方をするんだね」
と、AIの話題を安心して出せる関係を作ることが大切です。
「一緒に使う」ことで、判断力を育てる
最初は「リビングで、大人と一緒に」というルールから始めるのがおすすめです。
これは見張るためではなく、そばで大人の考え方や感じ方を、さりげなく伝えるため。
「答えをもらうんじゃなくて、やり方を教わってみたら?」
「それは人が考えなきゃいけないことかもね」
「自分がやられたら嫌じゃない?」
と、大人が声をかける。
その積み重ねが、一人で使うようになったときの「立ち止まって考える力」を養います。
AIは使い方次第で、子どもを受け身にしてしまうことも、考える力や可能性を広げることもできます。
この記事が、親子でAIについて話すきっかけなれば嬉しいです。







